お悩み相談〜視覚に障害のある人とともに

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視覚障害者のための入社準備

Q.どのような仕事ができるか、どこで、誰に、どのように相談すればよいでしょうか?

A.障害者の求人情報はハローワークの障害者専門部門(専門援助第2部門)において確認することができます。ハローワークには職業指導官や障害者専門支援員、職業相談員(障害者職業相談担当)などが配属されており、求職障害者の障害の態様や適性を把握するとともに、就労移行支援や障害者就業・生活支援センター、地域障害者職業センターなどの関係機関と連携し、求職者を支援します。

地域障害者職業センターの障害者職業カウンセラーは、障害者に対する職業評価(職業リハビリテーション計画の策定)、職業指導(職業リハビリテーションカウン セリング)・職業準備支援、OA講習(職業準備訓練、職業講習)などを行います。

視覚障害者が様々な業務をどのような就労支援機器を利用し、どのような工夫をしているかについては、高齢・障害・求職者雇用支援機構の障害者就労事例リファレンスサービス、視覚障害者雇用好事例集、視覚障害者就労生涯学習センターの視覚障害者雇用就労支援連続講座の事例講演集、日本視覚障害者職能開発センターの福祉教育DVDの貸出、特定非営利活動法人タートルの職種事例紹介データベースが参考になります。

また、個別企業に求人情報や雇用事例を尋ねるときにはホームページで担当を確認します。多くの場合は人事部の障害者担当者またはダイバーシティ担当者がいます。

※ ダイバーシティとは、多様性という意味の英単語(diversity)で、組織マネジメントや人事の分野では、国籍、性別、年齢などにこだわらず様々な人材を登用し、多様な働きかたを受容していこうという考えかたのことです。

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視覚障害者のITシステム変更、人事異動、引っ越し対応

Q.職場のITシステムの変更・バージョンアップはどのように対応したらよいでしょうか?

A.上司、ITシステム担当者、地域障害者職業センターの障害者職業カウンセラー、中央障害者雇用情報センターの就労支援機器アドバイザー、障害者雇用管理サポーター、訪問型職場適応援助者(ジョブコーチ)などを交えて対応方法を検討します。障害者の多様な形態に応じた「在職者訓練」や職場適応援助制度を利用して、シンクライエントなどのITシステムやWeb会議システムなどに対応します。ITシステムの変更やバージョンアップは、画面読み上げソフトや拡大ソフト、点字ディスプレイなどの就労支援機器の利用にも影響が及びます。ファイルの共有, 共有ワークスペースの利用などリモートワーク環境が大きく変わってきています。オンラインによる職場適応援助(ジョブコーチ)も可能になってきましたので相談して下さい。

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視覚障害者の就職活動方法(学生)

Q.大学の就職課では障害者の求人について分らないのですが、どこへ相談に行ったらよいでしょうか?

A.大学3年生から登録でき、卒業後3年までの人たちを対象にした新卒応援ハローワーク(全国56か所)があります。障害者求人情報を相談したり(インターネットで調べることも可能)、履歴書の書きかた、自己PR文、面接の受けかたなどの就職活動に関するアドバイスをもらうことができます。また、障害者の一般就労の機会を広げるとともに、安心して働き続けられるよう、就労面と生活面の支援を一体的に支援するための障害者就労支援センターおよび障害者就業・生活支援センターがあります。

大学の障害学生就学支援ネットワーク(独立行政法人機構)から情報を得ることも可能です。

障害学生修学支援ネットワークの拠点校一つ、筑波大学では、障害のある学生へのさまざまな支援を行っています。DAC センター(ダイバーシティ・アクセシビリティ・キャリアセンター)では、障害学生対象のキャリア支援・就職支援 として「障害学生対象就職支援講座」などを行っています。

早稲田大学では、障がい学生のためのキャリアセンターにおいて障害のある学生への支援をしています。

就職活動の準備は、キャリアセンターの『就職活動ガイドブック』や 就活スタート講座、各種セミナー等のイベント、Course N@vi【キャリア・就職支援講座】のコンテンツ「障がい学生対象就職ガイダンス」、個別相談等を利用して進められるようにしています。
また、民間の人材紹介会社の面接会に参加することもできます。視覚障害の大学の先輩や視覚障害者の団体(日本視覚障害者団体連合会総合相談室、日本弱視者ネットワークなど)で就労事例を尋ねるのもよいでしょう。

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視覚障害が進行してきた

Q.だんだん視力が低下してきました。これからどうしたらよいでしょうか?

A.まずは眼科に行きましょう。網膜剥離など急性の症状では速やかな処置も必要です。また緑内障などの慢性的な疾病で、進行が遅く、なかなか日々の生活では気づけないケースもあります。定期検査での比較や精密検査を受けることも大切です。

そして処置・治療を施した結果、レンズによる矯正で視力が上げられなかったり、日常生活に不具合が生じてきたら、地方自治体の福祉課や障害者リハビリテーションセンターなどで相談してください。見ることに頼らない料理や洗濯機などの生活機器の操作方法など、日常生活に必要な技術を習得する社会的リハビリテーションから始めます。

本人はもちろん、家族・周囲のかたも生活や心境に動揺があると思いますが、地域資源や社会福祉を活かして、なるべく早めに日常生活の回復に取り組んでください。

日本眼科医会ではロービジョンケアサイトを立ち上げました。ロービジョンケアとは、視覚に障害があるため生活に何らかの支障を来している人に対するすべての支援の総称で、医療的なケアから教育的、職業的、社会的、福祉的、心理的ケアまで、広い範囲にわたる支援、情報提供を行っています。東京には東京都ロービジョンケアネットワークがあります。(ロービジョンケアサイでネットワークのある地域をご確認ください。)

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視覚障害が重度化してきた

Q.社会活動や職場復帰をするためにこれからどうすればよいでしょうか?

A.「見えない」「見えにくい」状態で、社会復帰をする手立てがあります。それを「リハビリテーション」と言います。この社会的リハビリテーション・職業的リハビリテーションを利用して、たくさんの視覚障害者が社会に復帰して、自分の人生を歩み続けています。

まず、眼科の医師に病気の状況、視力、視野などをしっかりと説明してもらいます。さらに眼科病院のロービジョンケア外来(日本眼科医会ロービジョンケアサイトに施設一覧があります)において視力や視野の補償をするための弱視レンズや遮光レンズ、拡大読書器の使いかた、固視訓練などを受けたり、カウンセリングを受けたりします。

次に、社会的リハビリテーション・職業的リハビリテーションについて施設や期間、内容などの情報収集をします。同時に生活の基盤となる障害者手帳や障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)の取得、就労するために障害者雇用率や障害者雇用推進助成金制度などを理解して、社会復帰の道筋を検討して行きます。眼科の医師やケースワーカー、リハビリテーションの専門家、産業カウンセラー、社労士とよく相談しながら手立てを考えて進めていきましょう。

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事業所が視覚障害者を受け入れる際に知りたいこと

Q.採用をするにあたり、どのような仕事を準備したらよいでしょうか?

A.

  1. 1.新卒採用であれば、他の新人と変わりなく、まず、社会人としての基本的な技能、報告・連絡・相談(ほう・れん・そう)など…のルール、マナーを身につけてもらいます。
  2. 2.文書作成(議事録作成など)、データ処理(社員の時間外・休日労働に関する抽出や連絡、労働安全衛生調査などの集計、部門の経費集計など)、人材採用・教育(求人サイト情報の更新、説明会や面接の準備、研究会など)、各種企画の運営・調整(福利厚生、イベントなど)、初めの間はシンプルで継続的な業務を考えます。
    高齢・障害・求職者雇用支援機構の障害者雇用事例リファレンスサービスや障害者雇用の事例集・障害者雇用職場改善好事例集などが参考になります。
  3. 3.画面読み上げソフトを利用することが可能な業務を考えます。目で見ることが必要なデータの入力業務などは、拡大読書器を利用しても目が疲れますから休憩をとれるようにするなどの配慮が必要です。1日、1週間、1ヵ月または年に1回など、職務全体の割合を考えながら裁量の範囲を明確にし、指導・支援を考えます。作業方法などは地域障害者職業センターの障害者職業カウンセラーに相談し、職場適応援助(ジョブコーチ)の支援(訪問またはオンライン)を受けるとよいでしょう。
  4. 4.文書作成(議事録作成など)、エクセルでのデータ処理(長時間勤務の抽出や時間外の入退出の抽出、部門の経費集計など)、各種企画の運営・調整(福利厚生やイベント・会議などの連絡調整など)、初めの間はシンプルで継続的な業務を考えます。

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