お悩み相談〜事業者のかたへ

  1. ホーム
  2. お悩み相談
  3. 事業者のかたへ

事業所が視覚障害者を受け入れる際に知りたいこと

事業所が視覚障害者を受け入れる際に知りたいことをまとめました。

Q1.採用をするにあたり、どのような仕事を準備したらよいでしょうか?

  1. A1-1.新卒採用であれば、他の新人と変わりなく、まず、社会人としての基本的な技能、報告・連絡・相談(ほう・れん・そう)などのルール、マナーを身につけてもらいます。
  2. A1-2.文書作成(議事録作成など)、データ処理(社員の時間外・休日労働に関する抽出や連絡、労働安全衛生調査などの集計、部門の経費集計など)、人材採用・教育(求人サイト情報の更新、説明会や面接の準備、研究会など)、各種企画の運営・調整(福利厚生やイベント・会議などの連絡調整など)、初めの間はシンプルで継続的な業務を考えます。
    高齢・障害・求職者雇用支援機構の障害者雇用事例リファレンスサービスや障害者雇用の事例集・障害者雇用職場改善好事例集などが参考になります。
  3. A1-3.画面読み上げソフトを利用することが可能な業務を考えます。目で見ることが必要なデータの入力業務などは、拡大読書器を利用しても目が疲れますから休憩をとれるようにするなどの配慮が必要です。1日、1週間、1ヵ月または年に1回など、職務全体の割合を考えながら裁量の範囲を明確にし、指導・支援を考えます。作業方法などは地域障害者職業センターの障害者職業カウンセラーに相談し、職場適応援助(ジョブコーチ)の支援(訪問またはオンライン)を受けるとよいでしょう。

Q2.パソコンのスキルや職務に対する姿勢が職場の期待と異なっています。どうしたらよいでしょうか?

A2.本人が希望している職務内容でしょうか?
求められている職務内容と期待される成果を双方で認識できているでしょうか?
職務の作業方法は適切でしょうか?
期待と実際との差異についての判断は、視覚障害を考慮した上でのものでしょうか?
パソコンスキルの向上には在職者訓練制度があります。
職務への対応は職場適応援助者(ジョブコーチ)支援制度があります。
事業所や本人の費用負担はありません。
本人に合った職務や作業方法を探して行きます。

Q3.画面読み上げソフトなどの就労支援機器を購入するにはどうしたらよいでしょうか?

A3.高齢・障害・求職者支援機構中央障害者雇用情報センターに就労支援貸出機器が用意されています。
職務内容や視力に合わせて選択して貸出を受けて利用してみます。
その間に、障害者作業施設設置等助成金を申請して、就労支援機器を購入します。
助成金により整備した機器は固定資産となるような条件があります。また、対象障害者ごとに2回目又は3回目の認定申請を行う場合は前回の支給決定日から3年を超える期間が経過している場合に限られています。

Q4.業務指導はどのような配慮が必要でしょうか?

A4.受け入れるにあたって、その人の視覚障害の状況を知り、職務の選定、トレーナーやメンターの配置など体制を整備します。

  1. A4-1.画面の状況は、指示代名詞は使わずに具体的に説明します。
    データの処理はマウスで動かしてしまうのではなく、キーによる操作(Tabキーで項目やリンク移動など)を理解して、セル番地などを指示しながら説明します。
    色は印などに置き換えることが出来るようであればそのようにします。
  2. A4-2.パソコン作業は、音声で読み上げる時間を考慮して、処理時間を多めに設定します。また、作業中に質問がしやすい机の位置関係も大切です。
  3. A4-3.視覚障害に起因する課題か、情報システムやデータに起因する問題か、またはオフィス環境や他の社員とのコミュニケーションに起因する問題か考えます。
  4. A4-4.文書の変更は色や取り消し線ではなく、変更履歴を利用したり、口頭で説明してください。
    口頭で説明されたときはICレコーダーを利用して内容を記録します。
    そして、受け入れ部署だけに負担がかかったり、視覚障害社員が孤立することを防ぐ配慮が必要です。

Q5.部下の社員の視力が低下しているようです。こちらから先に声をかけたほうがよいでしょうか?

A5.まずは、本人が動き出せるような環境作りが大切です。
話ができる環境ができたら、人事や産業医、主治医(眼科医)に相談を勧めたり、視力が低下した人たちへのケアをする眼科(ロービジョンクリニック)、拡大読書器やパソコンの画面読み上げソフトなどの就労支援機器、さらにはリハビリテーションの情報などを伝えて下さい。

Q6.雇用率を達成していくために視覚障害者の雇用を考えています。よい人を探すにはどのようにしたらよいでしょうか?

  1. A6-1.ハローワーク、地域の障害者就労支援施設、生活・職業リハビリテーション施設を訪問したり、大学の就職課や学内の障害学生支援センターなどと連携を持つ、例えは視覚障害者雇用就労支援連続講座などに参加して視覚障害者と接点をもつのもよいでしょう。さらにはインターンや職場実習により視覚障害者を受け入れることも大切です。
  2. A6-2.その後も在職者訓練やジョブコーチ支援で能力やスキルを向上させることが出来ますので、一緒に働きたいと思われる障害者がいたら、専門機関に相談してインターンや職場実習の経験を積んでもらいます。