お悩み相談〜学生の就活
視覚障害者の就職活動方法(学生)
Q1.大学の就職課では障害者の求人について分らないのですが、どこへ相談に行ったらよいでしょうか?
A1.大学3年生から登録でき、卒業後3年までの人たちを対象にした新卒応援ハローワーク(全国56か所)があります。障害者求人情報を相談したり(インターネットで調べることも可能)、履歴書の書きかた、自己PR文、面接の受けかたなどの就職活動に関するアドバイスをもらうことができます。また、障害者の一般就労の機会を広げるとともに、安心して働き続けられるよう、就労面と生活面の支援を一体的に支援するための障害者就労支援センターおよび障害者就業・生活支援センターがあります。
大学の障害学生就学支援ネットワーク(独立行政法人機構)から情報を得ることも可能です。
障害学生修学支援ネットワークの拠点校一つ、筑波大学では、障害のある学生へのさまざまな支援を行っています。DAC センター(ダイバーシティ・アクセシビリティ・キャリアセンター)では、障害学生対象のキャリア支援・就職支援 として「障害学生対象就職支援講座」などを行っています。
早稲田大学では、障がい学生のためのキャリアセンターにおいて障害のある学生への支援をしています。
就職活動の準備は、キャリアセンターの『就職活動ガイドブック』や 就活スタート講座、各種セミナー等のイベント、Course N@vi【キャリア・就職支援講座】のコンテンツ「障がい学生対象就職ガイダンス」、個別相談等を利用して進められるようにしています。
また、民間の人材紹介会社の面接会に参加することもできます。視覚障害の大学の先輩や視覚障害者の団体(日本視覚障害者団体連合会総合相談室、日本弱視者ネットワークなど)で就労事例を尋ねるのもよいでしょう。
Q2.大学ではパソコンを使って勉強をしていますが、職場ではどのようなパソコン技能レベルを期待されているでしょうか。
A2.視覚障害をもつ学生も調べも、レポート作成や提出などパソコンを使用しますが、仕事で必要となるパソコンスキルはスケジュール管理、ビジネス文章作成、大量のデータ処理、Web会議システム、人事や在庫管理システムなどの利用、共有フォルダの構造理解など、もちろん就業規則や行動規範などの情報にアクアセスできるパソコンの機能が求められます。
そこで、入社前にパソコンスキルのチェックとスキルアップをする必要があります。様々な場所で講習を受講することが可能です。 視覚障害者就労支援機関にお問い合わせください。例えば、視覚障害者就労生涯学習支援センターでは、8月に5日間の大学生向けのビジネスパソコンと就職応援講座を実施しています。
Q3.就労のイメージできるように職場実習やインターン制度などを利用するにはどうしたらよいでしょうか?
A3.視覚障害者の職場実習を受け入れる企業が増えつつあります。ハローワークや大学の就職課に職場実習の希望を伝え、事業所に問い合わせてもらいましょう。職場実習に必要な画面読み上げソフトや拡大読書器などは中央障害者雇用情報センターの就労支援機器貸出制度を利用して用意してもらうことができます。貸出しの申請は職場実習受け入れ事業所がします。
また、これまでに職場実習を受け入れた事業所については、筑波技術大学や視覚障害者就労支援機関などに尋ねてください。
卒業後であれば、日本版デュアルシステムという制度があります。これは1か月の職場体験を含む障害者障害者向け職業訓練コースです。
Q4.ハローワークでは、就活している障害学生に対してどのようなサポートをしているでしょうか?
A4.障害者手帳を持っている大学、大学院、短大、高専、専門学校の卒業予定者及び既卒3年以内の求職者に対して、障害者手帳の有無にかかわらず、障害の特性や事情に 配慮した個別支援を実施しています。求職申込から、相談、求人紹介、就職、定着まで一貫した担当者制支援で、就職面接会や希望の求人が見つかったら応募書類の添削、面接対策のアドバイスを実施し、必要に応じて採用面接に同行し配慮事項を企業に説明します。さらに就職後の職場定着のため、職場訪問や最寄りのハローワークへ支援を引継ぎます。
Q5.採用が内定したのですが、入社までに何をしたらよいでしょうか?
A5.入社後すぐに仕事が開始できるよう、下記の準備をしておくことをお勧めします。
1.自宅もしくは寮から職場までの通勤ルートの確認
歩行訓練士とともに通勤時間帯に合わせて、安全で歩き易いルートを考え、ルート上で注意すべき場所を確認します。通勤の安全を確保することは本人・事業所にとって就労する・雇用する上で基本となります。
2.職場環境の整備
入社時研修での配慮事項などの準備、入社後のスムーズな業務遂行のための関係機関との連携構築など、新人研修における環境確認・情報補償の方法、配属部門のトレーナーや先輩などの配置、業務内容の決定と就労支援機器などの準備、さらに作業方法を検討するために地域障害者職業センターの職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援の準備をしてもらいます。
3.パソコンスキルのレベルアップ
視覚障害者のビジネスパソコン技能習得コース「 在職者訓練」などを受講し、業務で必要なワード、エクセル、アウトルック、アクロバットリーダーなどのアプリケーションソフトを十分に使いこなし、画面読み上げソフト・拡大ソフト・文字認識ソフトなどのパソコン利用能力を高めます。
4.体験談から仕事や組織に対する具体的なイメージをつかむ
就職している視覚障害の先輩たちの体験談を聞いて、仕事や組織に対する具体的なイメージをつかみます。視覚障害者就労生涯学習支援センターでは年に3回ほど、視覚障害者就労情報交換会を行い、新人、10数年程度経験者、40代・50代の中途視覚障害者の業務内容や職務遂行上の工夫などの話を聞きながら意見交換をしています。また、年1回行う視覚障害者雇用就労支援連続講座において事業所の視覚障害者雇用の取り組みを提供してもらっていますので、視覚障害をもつ求職者にとっても参考になります。
5.職場での勉強会開催
職場への視覚障害などの理解を促進する勉強会を開催してもらいます。
白濁や視野狭窄などのシミュレーションゴーグルを使って、視覚障害の疑似体験をしてもらいます。視覚的な情報の確認が困難になることを理解してもらいます。また、アイマスクをして白杖を使って歩行してもらいます。方向や距離、床の感触など、白杖を通して理解してもらいます。また、画面読み上げソフトで文章やデータをどのように読むか、パソコンをマウスではなくキーで操作する方法を理解してもらいます。
Q6.就職を機に独り暮らしをする予定です。どのような支援を受けられるでしょうか?
A6.事業所がマンション探しなどを手伝ってくれるところもありますが、本人が探します。電磁調理器の利用などによって安全に関する理解を得られて賃貸契約を結んだならば、歩行訓練士に周辺の商店やマーケットなどのオリエンテーション、自宅から職場までの歩行訓練を頼みます。市区町村の福祉課に 家事支援や同行支援の申請をします。
Q7.10月の時点で内定がまだ取れていません。これからどうしたらよいでしょうか?
A7.4年生の10月の時点で内定がなくても、各ハローワークで実施しているミニ面接会への参加、例えば、東京であれば2月に行われる全都のハローワーク主催障害者就職面接会などへの参加をします。卒業に必要な単位取得が見込まれているかたは、役所の判断にしたがって就職につなげる就労移行支援の利用が可能です。