お悩み相談〜視覚障害者のための入社準備

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視覚障害者のための入社準備

Q1.どのような仕事ができるか、どこで、誰に、どのように相談すればよいでしょうか?

A.障害者の求人情報はハローワークの障害者専門部門(専門援助第2部門)において確認することができます。ハローワークには職業指導官や障害者専門支援員、職業相談員(障害者職業相談担当)などが配属されており、求職障害者の障害の態様や適性を把握するとともに、就労移行支援や障害者就業・生活支援センター、地域障害者職業センターなどの関係機関と連携し、求職者を支援します。

地域障害者職業センターの障害者職業カウンセラーは、障害者に対する職業評価(職業リハビリテーション計画の策定)、職業指導(職業リハビリテーションカウン セリング)・職業準備支援、OA講習(職業準備訓練、職業講習)などを行います。

視覚障害者が様々な業務をどのような就労支援機器を利用し、どのような工夫をしているかについては、高齢・障害・求職者雇用支援機構の障害者就労事例リファレンスサービス、視覚障害者雇用好事例集、視覚障害者就労生涯学習センターの視覚障害者雇用就労支援連続講座の事例講演集、日本視覚障害者職能開発センターの福祉教育DVDの貸出、特定非営利活動法人タートルの職種事例紹介データベースが参考になります。

また、個別企業に求人情報や雇用事例を尋ねるときにはホームページで担当を確認します。多くの場合は人事部の障害者担当者またはダイバーシティ担当者がいます。

※ ダイバーシティとは、多様性という意味の英単語(diversity)で、組織マネジメントや人事の分野では、国籍、性別、年齢などにこだわらず様々な人材を登用し、多様な働きかたを受容していこうという考えかたのことです。

Q2.職場から乗換えなど通勤に不安があると言われているのですがどうしたらよいでしょうか?

A2.通勤時間帯に歩行訓練士による自宅から職場までの歩行訓練を行い、注意すべきポイントを確認し、安全に通勤できるようにします。(なお、労働災害保険労災事故により、既存障害(先天性の障害も含む)の同一部位に対して更に障害の程度を悪化させた場合は、障害等級は労災事故後の障害等級が適用されます。)

Q3.職場のお手洗いやエレベータの位置、グループの机やプリンタの配置が判らないのですがどうしたらよいでしょうか?

A3.採用内定後、職務内容・就労支援機器、オフィスのレイアウトなどの環境整備に関する打合せなどを行うことが大切です。勤務開始前に勤務先を訪問する機会を作り、雇用者と視覚障害をもつ被雇用者が職務内容、就労するために必要な配慮を共有します。この時、障害者雇用管理サポーター、地域障害者職業センターの障害者職業カウンセラー、歩行訓練士など、視覚障害専門家に同席してもらい、オフィスやカフェテリアのレイアウトや設備、勤怠や所属グループが利用しているITシステムなどを確認します。
まずは、雇用者または視覚障害者本人が地域障害者職業センターなどに相談してください。

Q4.職場の方々に、自分の視覚障害の状況について理解してもらうにはどうしたらよいでしょうか?

A4.なるべく早い段階で、視覚障害の内容、視覚障害により業務に関係すると思われる事項について理解してもらうことが大切です。それにより効率よい職務遂行につながります。就職後、早い時期に業務関係者(人事、上司、同僚、ITシステム担当者など)向けの勉強会を企画・開催しましょう。この時、視覚障害者本人、 障害者雇用カウンセラー、ジョブコーチ、歩行訓練士、産業医などとともに、視覚障害、白杖による単独歩行、誘導介助、 パソコンの画面の読み上げソフト・拡大ソフトの説明などを行い、受け入れ側の疑問や不安を取り除きます。 なお、『災害時の誘導』に関する研修も合わせて行うことで、危機管理についても理解を深めてもらいます。

Q5.職場のITシステムが拡大ソフト・画面読み上げソフトに対応しないのですが、どうしたらよいでしょうか?

A5. 次の3つの場合が考えられます。

  • 職場ITシステムと画面読み上げソフトや拡大ソフトのバージョンが合わない。
  • 職場ITシステムが画面読み上げソフトや拡大ソフトに対応していない。
  • 職場規定で、特殊なソフト(画面読み上げソフトや拡大ソフト)をインストールしたパソコンから職場システムへのアクセスを認めていない。
    職場のITシステムのどの部分が読み上げられない、キーで操作できないなど問題点を明らかにして、円滑に職務を遂行できるように環境を改善してもらいます。いずれのケースでも上司・ITシステム担当者、就労支援機器について知識のある第三者を交えて 合理的な配慮を考え、視覚障害のある社員および部門全体のパフォーマンス向上への具体的な努力をしてください。可能であれば、新ITシステム導入・運用の際に解決策を講じてもらうことが肝要です。

Q6.電話器や複合機などのオフィス機器が使いにくい場合にはどうしたらよいでしょうか?

A6.複合機は多くの機種でタッチパネルが採用されており、視覚障害がある社員もコピーやPDFデータを作成する際にタッチパネルを操作することが必要となります。 弱視の社員は、タッチパネルの色を白黒反転したり、拡大して利用します(マニュアルに色の反転機能があるかを確認してください)。また、タブレット・スマートフォンのカメラ機能を活用し、パネルを拡大・撮影し、ボタンなどの位置を把握・確認している人もいます。 全盲の社員は、透明のプラスチックシートに作業上必要なボタンの位置を書き写し、点字ラベルなどを貼ったものをコピー機のパネルの上に重ねて使用するなどの工夫をしています。上司やジョブコーチなどと適切な利用方法を考えます。

Q7.食堂が利用しくいのですがどうしたらよいでしょうか?

A7.通勤ルートやオフィスのレイアウトを確認する際に、カフェテリア(食堂)もレイアウトやメニュー、注文方法、テーブルまでの持ち運び、箸などの取りかた、お茶の淹れかた、器の返却などの流れを分析し、上司や総務の担当者、カフェテリアの責任者、歩行訓練士などとともにカフェテリアの利用の時間帯、安全利用方法を相談します。同僚やカフェテリアの方々に手助けをお願いすることも必要です。

Q8.周囲の様子が判らない、連絡したい相手が席にいるか判らない、掲示板や紙媒体などによる情報が読めないのですがどうしたらよいでしょうか?

A8.視覚から入る情報がないということは、人や物の在・不在、文字などが表示されていることが分らない、「あそこ」という代名詞の場所が分らないということです。周囲の人々に視覚的な情報を得ることが出来ないことを理解してもらい、それに対する気配りや目配り、強く表現するならば合理的配慮を考えてもらうことが必要です。
職場で気軽に支援を求めたり、支援を申し出てもらえるような豊かな人間関係を作ることが大切です。

Q9.業務や会議などで読まなければいけない紙の資料はどうしたらよいでしょうか?

A9. 視覚障害者は、会議などの場で配布された紙の資料の読み書きは困難です。事前に資料の内容を把握して、準備しておくことは大切です。資料がワード、エクセル、パワーポイント、PDFなどの電子媒体であれば、事前もしくは会議終了後に提供してもらいましょう。電子媒体の資料の入手が困難な場合は、紙媒体の資料をスキャナーでデータ化し、文字認識読み上げソフトを使って文字の解析をします。網かけされた文字、複雑な表、グラフなどは解析が難しく、文字化けすることもありますが、自力で情報を入手できるようにすることは大切です。